三宅島 元気ハツラツぅ?

コタツで読書の冬

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  年明けの三宅島の平均気温は10度前後。最低気温も平均7.5度ほどで、「東京」のように零下にはならないもののその分寒風が強く、三宅なりの寒さが続いています。
  そのため外に出るのは仕事以外では、船への見送りぐらいで、フリータイムは専らコタツにもぐり込んで、「積ん読」を嘆いていた活字たちのお相手。
  そのなかから、お薦めしたい数冊をご紹介。

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 ラジオの魂  小島慶子   河出書房新社

コタツで読書の冬_d0161382_17461970.jpg  「いい加減に気づきなさいよ。女子アナブームはもう終わったのよ」と、ブリッ子とかおバカキャラとか言われているTBSアナ田中みな実に、マツコ・デラックスが言ってからだいぶ経つ。
本書の著書は、田中の先輩になる元TBSアナウンサー(現在はフリーのラジオパーソナリティを名乗る)。言うまでもないか?

  田中みな実アナが、ときどきテレビで「プニュッ」という効果音とともに話しているのを聞くと、そのアホぶりに思わず電源スイッチに手が伸びる。
  しかし顔のでないラジオでの彼女の話しぶりは、テレビとはまったく異なり、むしろ理知的で、癒しすら感じる話しぶりだ。

 男社会の放送業界(特にテレビ局)のなかでは、女子アナは可愛いリアクションをはじめ、みんなが期待する女子アナ像を演じことを求められる。が、小島さんはそれに応えることができなかったと明かす。
  映像のない世界での話しぶりから「プニュッ」のオネーちゃんも本音の部分では「アホラシ!」と思っているのかもしれない。しかし、そうすることがこの世界での「賢明」な処世術と割り切って女子アナらしさを演じている?やがて、それが習い性になってしまう危険性も高いのだが。
 
 そのTBSラジオで、1998年10月から2010年3月まで放送されていた「バトルトークラジオ アクセス」という番組があった。その初代ナビゲータ(司会者)は、テレビ中心の華やかな女子アナの座を捨てた小島さんだった。

 この番組のレギュラーコメンテーターは、田中康夫・宮崎哲弥など一癖どころか四癖も五癖もある面々。社会現象や時の話題など日替わりのテーマをリスナーやゲストも交えてトークするのだが、ときに視聴者とバトルトークではなく、本当にバトルにしてしまう自己主張のあまりに強すぎるコメンテーターをうまく御しながら 実のある論議にしていったのが彼女だった。

 その後、出産・育児の休養を経て、レギュラー番組に復帰したのは、2006年10月にはじまった「久米宏 ラジオなんですけど」。久米さんの「土曜ワイドラジオTOKYO」以来22年ぶりのラジオレギュラー番組。もう1人の(初代)パーソナリティーが小島アナ。
 ここでも一筋縄ではいかない久米さんとタッグを組んで、対等以上に渡り合った。
 彼女の最大の欠点、この人が初代を勤めると、その後のパーソナリティーの底の薄さを感じさせてしまうことは、この番組でも同様だった。

 「ラジオなんですけど」を2年半担当した後、彼女自身の看板番組
 「小島慶子 キラ☆キラ」  (月曜~金曜の13時から15時半まで)が2009年3月からスタートする。
 開始当時は、自身の貧乳さえネタにしてしまうその女子アナらしくない話しぶりに戸惑いや批判が多かったが、徐々に理解され、今では「ラジオの女王」とまで呼ばれる。こうした小島慶子の子供頃からラジオパーソナリティーとしての今日までを書いたのが本書。

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 「キラ☆キラ」で共演(水曜日)するライムスター 宇歌丸が名付けた「オジキ」という愛称も持つこのパーソナリティーは、いまやラジオだけでなく、NHK「福祉ネットワーク」やタモリの「ニッポン小意見センタ~♪」、稲垣吾郎の「ゴロウ・デラックス」などあちこちに引っ張りだこだ。
  あまりの売れっ子ぶりに、長年のファンとしては、マネージメント事務所はもう少し仕事をチョイスしてあげた方がいいのではと非常に心配も。
 12月始めには、政府公報で朝刊各紙に掲載された野田首相の対談相手にまで指名された。これと小島さんの   水着写真集  だけは、「ちょっと、かんべんして」かも?

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  島のラジオの受信レベルは、送信設備の関係か超ベリーバッド。特に夜なんかは、中国語や韓国語の電波の影響が強く、まるで2カ国語音声多重放送。  そのためクリアに聴くためには、radiko(ラジコ=民放)か、らじる(NHK)、またはポッドキャストといったのネットラジオを利用するしかない。ただ、いつでもどこでも聴けないのがネック。
  海に囲まれ、火山島の伊豆諸島では、いざというときには、ラジオは重要な情報ツール。 総務省かNHKさんか分からんけど、地デジ化の1/10の熱意でいいからなんとかしてくれ!




   内村宏幸 オリジナルコント傑作集 
   
 
  内村宏幸   光文社知恵の森文庫
 

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 吉本芸人などがバラエティ番組等で見せる昨今の芸は、後輩芸人「いじり」というか「いびり」「いじめ」ばかり。芸の世界でのそうした上下関係は否定しないが、内輪の関係自体を笑いにする芸は、はたして「芸」なのか。

 本書は、そうした吉本等のお笑い芸人を排し、生瀬勝久・堀内敬子・沢村一樹・奥田恵梨華・原史奈・平泉成・麻生祐未・ONEOR8など舞台や映画・ドラマを中心に活躍する芸達者なキャストが出演するNHK番組「サラリーマンNEO」の脚本集。

 子どもの頃見た記憶がある 「ゲバゲバ90分」 という番組の傑作集DVDを数年前に観た。やはりショートコント番組で、低予算・タレント任せの安直番組に対するアンチテーゼを旨としていた。お笑いタレントではなく(コント55号のみ例外)、大橋巨泉と前田武彦、ハナ肇・宍戸錠・朝丘雪路・常田富士男、藤村俊二、宮本信子などのキャスティングで、しかも井上ひさしが脚本陣の一人で、制作経費と時間を惜しまず作られた番組だったらしい。

コタツで読書の冬_d0161382_1855151.jpg  「サラリーマンNEO」は、「ゲバゲバ」によく似た番組作り。しかも、理不尽なことも少なくないサラリーマン・OL社会をネタにしたという面では「うん、そうなんだよな」と より身近に感じられる。
 島にいてみるチャンスがなかったが、年末には「サラリーマンNEO 劇場版(笑)」もやっていたらしい。ショートコントだからこそ面白い気もするのだが、2時間近い長尺ではどうなのか?観られた方だれか教えて。


      ★本傑作集から一つだけテレビ未放映のコントをご紹介

『謝って』

   (商店街の青果店。店先で店主が大声で客寄せしている。)

店主  はい、安いよ、安いよ、いらっしゃい。
        (と、そこへ、仕事帰りのOLが来る。)
店主  はい、いらっしゃい。
        (OL、いきなり店主の腕をつかんで詰め寄る。)
OL   謝って!
店主   はい?
OL   お願い、謝って!
店主  な、何なんですか?
OL   昨日、あたしここに買い物に来たの。
店主  はい。
OL   その時、あなた言ったわよね。「お姉さん、キレイだからオマケしてあげる」
     って。
店主  あ、言ったかもねぇ・・・。
OL   で、あなたは、キュウリを1本とジャガイモ2個おまけしてくれたわよね。     
     あたし、昨日一晩考えたの。あたしのキレイさって、キュウリを1本と
     ジャガイモ2個分なのって。  (略)  
     それがどうしても許せなかった! だから、謝って!ねぇ、心から謝って!
店主  す、すみませんでした、ほんとうに、すみませんでした。 
           (OL、いきなり笑顔に戻る。)
OL   いいんですよ。わかってもらえれば。   (略)
          (OL立ち去っていく。呆然と見送る店主。他の客が声をかける。)
客   ねぇ、オジサン、これおまけして。
店主  (怒ったトーンで)ダメだよ!もう、オマケはしない!
 


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 椎名誠が、ラーメン屋で椎名を有名な人らしいとしか知らないらしい店のオバサンにサインを頼まれた。お会計のときに450円だけオマケして「あら、いいのよ。サインもらったから」といわれ、「あっ、俺のサインは450円だったのか?」とどこかで書いていたのをふと思いだした。




うめ版 新明解国語事典 × 梅佳代
      写真 梅佳代    三省堂



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写真界の芥川賞といわれる木村伊兵衛写真賞(2007年)を受賞したウメカヨさんと、異色の辞典「新明解国語辞典」がコラボレートした写真付き辞書。




  「新明解」といえば、たとえば恋愛の項で、  
<【恋愛】: 特定の異性に特別の愛情をいだいて、二人だけで一緒に居たい、出来るなら合体したいという気持ちを持ちながら、それが、常にはかなえられないで、ひどく心を苦しめる(まれにかなえられて歓喜する)状態 (第4版)>

  なんていう独特かつあけすけな解釈をする学習辞典。こんな辞典で学習をする子供たちは、将来どんな才能を獲得するのかという問題はさておき、梅佳代さんも「写真界の新明解」 - 逆に書籍の方を「辞典界のウメカヨ」という表現も可能だが、「新明解」の方がはるかに先輩なので - とも呼べるユニークな世界を繰り広げる写真家。この両者の「合体」は、見るものをひどく歓喜させる(もしくは苦しめる)はず。

    ★この本の中からも一つだけ紹介すると

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<【良心】:自分の本性の中にひそむ欺瞞・打算的行為や、 不正直・不誠実・ごまかし・怠惰の念などを退け、自分が正しいと信じる所に従って行動しようとする気持ち。 「良心に恥じる/良心にまつ所が大きい/良心を疑う/良心が麻痺する/学的良心」>

という説明に、たぶん(風景や肩書から推定すると)10年ほど前に中野駅前で演説する菅直人民主党代表(当時)らの写真が掲載されている。

 3.11後のいま読むと本当に意味深。
特に原発事故対応は、不正直・不誠実・ごまかしのてんこ盛りで、良心に恥じ、良心を疑い、良心が麻痺しているとしかいいようがないのだが、四国お遍路巡りで功徳を積んだはずの元総理は、この「うめ版新明解」の説明をいまどう見るのでしょうか。


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by Wamploo | 2012-01-14 21:50 | Other
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噴火から10年、帰島から5年、火山ガス「噴出ヤメッ!」とは、なかなかならない三宅島に、元気を取り戻してもらえるように、写真を中心に、テキト~に文章まき散らし、テキトーに規則正しく綴っていければと・・・

by Champloo
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